★ 第1回 「詞集 たいまつ」 むのたけじ著
この本に出会ったのは、僕が学生のころなので約40年前。
ちょうど70年安保闘争や学園紛争等で学生運動が盛んな時代に、友人から薦められて購入しました。
まず最初にビックリしたのが、筆者 むのたけじ氏の生き方です。
氏は、東京外語大卒業後、報知新聞から朝日新聞の記者となり、中国特派員、東南アジア特派員などを歴任。
終戦の45年8月に「負け戦を勝ち戦とだまして報道してきた責任をとる」と言って朝日新聞を退社してしまった。
戦争は個人の責任ではないのにネ・・・ウ~、凄い!
「詞集 たいまつ」 は、氏が戦争責任の理由で朝日新聞を退社した後、郷里で発行した週刊新聞「たいまつ」に連載していた社説をまとめたモノです。
とても短い1行1文の詞から10~20行ぐらいの詞で、政治や社会、人間や個人の価値観など、いろいろな項目について記述していますが、「詞」なので難しい表現は一切ありません。
また、テーマ別になっていますので、 関心のない話題は読み飛ばしても良いし、読みたいところだけを摘む読みもできる大変手軽な本です。
時代が変わっても物事の根底は普遍であり、現代においても共通していることも多く、この本を通じて、きっと何か印象深い詞にめぐり会うことができると思います。
氏の一つ一つの詞が、物事を考える上でとても参考になり、今でも自分に悩が生じた時などにこの本を読み返すと励まされます。
僕が学生の頃、全2巻だったように記憶していますが、今は全5巻になっていました。
最初の1巻だけでも良いので、是非ご一読ください。
●「詞集 たいまつ」 (第1巻~第5巻)
著 者 : むのたけじ
出版社: 評 論社
装丁 : 新書サイズ (ムンクの「叫び」が印象的な表紙)
定 価 : 1巻 1050円
●むの たけじ 略歴
1915年、秋田県六郷町生まれ。
東京外国語学校スペイン語科卒業。
報知新聞社を経て朝日新聞社に入社。
1945年8月15日の敗戦の日に、新聞人としての戦争責任をとる形で退社。
1948年、郷里の横手市でタプロイド版の週刊新聞「たいまつ」を創刊し1978年に休刊。
30年間の週刊新聞の主幹として新聞の在るべき姿を求め続けた。
その後も、著述や講演を通じてジャーナリスト活動を続け、2003年12月に、湯沢市の市民団体と「むの たけじ平和塾」を開講。
2001年、第12回農民文化賞受賞 など