2020年1月7日、多くの音楽誌で“史上最高のドラマー”と評され、多くのアーティストに影響を与えたNeil Peart(ニール・パート)が脳腫瘍で亡くなりましたね。
享年67歳。
合掌!
死ぬ前にもう一度LIVEが観たいバンドがいくつかあります。
RUSHもその一つ。
しかし、RUSHのLIVEを日本で観るのは、ほとんど不可能になってしまいました。
1984年 の日本武道館LIVE以降、日本には来ていないし、2015年に開催された「R40」というデビュー40周年記念ツアーをファイナルツアーと宣言。
そしてNeil Peartの逝去・・・・。
残念ですが、もうRUSHのLIVEを見ることは完璧に無くなりました・・・・。
唯一の日本武道館LIVEを妻と一緒に観れたのがいい思い出になってしまいました。
僕がRUSHにはまったのが、いまから数十年前の名古屋転勤中。
名古屋で知り合った方から頂戴した1976年発表のアルバム「2112/邦題:西暦2112年」を聞いてから。
RUSHは、カナダのバンドだけど、当時カナダのバンドと言えば、
1970年5月に3週連続Billboard Hot 100 でNo.1に輝いた「American Woman」のGuess Who、
1968年映画「イージー・ライダー」で使用されBillboard Hot 100 で2位を位記録した「Born to Be Wild」のSteppenwolf、
Guess Whoのランディ・バックマンを中心に1973年に結成されたBTO(Bachman-Turner Overdrive)ぐらいしか知りませんでしたので、「フ~ン、カナダのバンドね・・・・」と、軽~い気持ちで針をレコードに・・・・。
もう、ビックリ!!
針を落としたA面の1曲目"Overture"で吹っ飛んでしまいました!
RUSHは、Jimi Hendrix、Cream、Led Zeppelinに触発され、1968年トロントで結成。
1stアルバムまでのメンバーは、Geddy Lee (b, key, vo)、Alex Lifeson (g)、John Rutsey (ds)。
その後、ドラムがNeil Peartに変わるとともに、彼の作詞により、RUSHは2ndアルバムから大きく変わっていきます。
3人が創り出すサウンドに乗って、独特なプログレ・ハードの世界に・・・・。
複雑な変拍子を多用するRUSHのサウンドは、最高です!!
カナダの国民的グループであり、北米におけるプログレ・ハードの先駆者でカナダ最大の音楽賞「ジュノー賞」を数多く受賞し、1994年に同賞の殿堂入りを果たす。また、2013年には「ロックの殿堂」入りも果たしました。
プログレ・メタルのDREAM THEATERは、「RUSHがいなければDREAM THEATERは無かったかもしれない」と言っているように、多くのバンドに影響を与えています。
RIAA(アメリカレコード協会)は、RUSHを、「ビートルズ、ローリング・ストーンズに続き、全米で3番目に多くのゴールド・ディスクやプラチナム・ディスクを獲得したバンドとして認定。
米ローリング・ストーン誌は、バンドの継続した芸術的活力にこう称賛を与えている ─ 「RUSHは、76年や96年の時のように、ただ「今」を意味するバンドではない、彼らの存在は、より多くの意味があるのだ」と・・・。
●「RUSH/邦題:閃光のラッシュ」
1974年発表の1stアルバム。
メンバーは、Geddy Lee (b, key, vo)、Alex Lifeson (g)、John Rutsey (ds)。
このアルバムが発表された当時は、Led Zeppelin全盛の時代。
彼等もLed Zeppelinの影響を強く受け、Zeppelin風のストレートで骨太なサウンドの典型的なハードロックバンドだったそうです。
この1stアルバムもストレートなハードロック・アルバム。
RUSHのハード・ロック、結構好きです。
2ndアルバム以降、RUSHは組曲が多くなりプログレ・ハード゙になって行きますが、この1stアルバムは「プロになった記念すべきアルバム」なので、大事にしたい1枚。
●「Caress of Steel/邦題:鋼の抱擁」
1975年 発表の3rdアルバム。
2ndアルバムからドラムスがニール・パートにメンバー・チェンジし、作詞も担当。
ニール・パートの哲学的な詞により、RUSHは大きく変わっていきます。
彼の詩を音で表現するために、バンドはプログレ・ハードロックに方向転換していきます。
このアルバムには「The Fountain Of Lamneth」や「The Necromancer」等の壮大なスケールの組曲が収録されており、次作「西暦2112年」へと繋がる隠れた名盤と言われています。
HR/HMやプログレといったジャンルを超えたラッシュの世界が堪能できるアルバム。
●「2112/邦題:西暦2112年」
1976年発表の4枚目のアルバム。
Billboard Albums Chart 200で61位を記録。
初期RUSHの名盤であると共にプログレ・ハードロックの代表格的な作品でもあります。
僕がRUSHにはまった思い出深いアルバム。
A面「2112」は、宗教指導者に監視された世界で「遺物」となっていたギターを発見した青年を描いた20分超の組曲。
メタリックなギターとハイトーン・ボーカルでハードに描いたドラマチックな世界をはとても強烈。
RUSHが自分達の音楽性を確立したターニング・ポイント的作品であり壮大かつ綿密な音世界でファンを魅了した初期の最高傑作だと思っています。
●「All The World's A Stage/邦題:世界を翔けるロック」
1976年発表の初LIVE盤で1976年6月のトロント公演を収録。
Billboard Albums Chart 200で40位を記録。
1stアルバムから名盤「2112」までのアルバムから厳選した曲を演奏。
アルバム「2112」の完全演奏や1stアルバムからのハードロック等も聴くことが出来ます。
初期のLIVEということでも貴重な音源ですね。
●「A Farewell To Kings」
1977年発表の5枚目のアルバム。
Billboard Albums Chart 200で33位、UK Albums Chart で22位を記録。
このアルバムの聴き所は、A面2曲目「Xanadu」やB面4曲目「Cygnus X-1」等。
10分超の曲なんですが、曲の構成が素晴らしいのです。
ライナーノートにも書かれているように「音の展開は“静と動”のフル・コンビネーションで遠のき、そして迫ってくれる」。
まさに、その通りなのです。
しかも適度にPOPでメロディアスなので飽きることなくリラックスして聴けます。
●「Hemispheres/邦題:神々の戦い」
1978年発表の6枚目のアルバム。
Billboard Albums Chart 200で47位を記録。
「2112」から続く壮大な三部作のラストを飾る作品。
1曲目の18分におよぶ組曲“Cygnus X-1”が最高!
ふたりの神アポロとディオニソスの争いが描かれており、先般他界されたニール・パートの文学的才能が存分に発揮された作品だと思います。
サウンド的にも、神の争いを表現する3人の神業的世界~RUSHのプログレ・ハードが満喫できます。
1曲1曲の質もさることながら、アルバム全体としての完成度が高く、RUSHの歴史に残る名作だと思います。
●「Permanent Waves」
1980年発表の7枚目のアルバム。
当店がオープンした当初、RUSHのアルバムは初期のものばかりでしたが、お客様のMATSUMOTOさんが同アルバムを持ってきてくださいました。
Billboard Albums Chart 200で4位、UK Albums Chartで3位を記録。
RUSHにとって初めてのベスト10入りしたアルバムです。
「Spirit of Radio」が本アルバムを象徴するように、これまでの重厚長大な大作路線からプログレのエッセンスを残しながら短めの曲作りで成功したアルバム。
でも、コンパクトな曲だけではなく、10分近いプログレ曲もあり、とても変化にとんだ素晴らしいアルバム。
ニール・パートの力強いドラムは最高!!
このアルバムの成功により、以降「The Spirit of Radio」のような「耳馴染み易いポップな歌」と「技巧性の高い演奏&複雑なリズムアレンジ」が、RUSHの音楽性となり世界的なバンドになっていきます。
●「Moving Pictures」
1981年発表の8枚目のアルバム。
Billboard Albums Chart 200で3位、UK Albums Chartでも3位を記録。
1980年代の最高傑作と言われているアルバム。
10分を超える曲もありますが、前作「Permanent Waves」同様、比較的コンパクトでポップな曲が収録されています。
演奏は超絶なテクニックで構成力の高い複雑な曲作りは素晴らしく、RUSHプログレ・ハードの音楽性はこのアルバムで確立されたと言われています。
テクニカルなロック・インストゥルメンタル「XYZ」は、同アルバムの代表的な曲であり、これまでの最高峰に位置する曲といわれています。
とにかく素晴らしいアルバムです。
●「Clockwork Angels」
2012年発表の20枚目のアルバム。
地元カナダでは1位、Billboard Albums Chart 200で2位を記録。
プロデューサーは、グラミー賞受賞経験もあるニック・ラスキュリネッツ。
奇妙な登場人物が現れる世界を旅する若者の姿をプログレ・ハードで描いたコンセプトアルバム。
この物語は、ニールと彼の友人のSF作家によって小説化されると聞いていますが、その後どうなったんだろうか・・・?
で、同アルバムは、これまでのRUSHの世界~プログレ・ハードに戻り、最高のアルバムに仕上がっていると思います。