当時は、百姓一揆をテーマにした「忍者武芸帳 影丸伝」を代表するように、最下層の人々の食べ物や服装などがとてもリアルであり、激しい権力闘争の中で描かれる暴力がとても残酷で子供よりはむしろ大人が読む漫画だと思っていました。
でも、今は「はだしのゲン」同様に子供たちに読んでもらいたい漫画だと思っています。
「はだしのゲン」は、作者 中沢啓治氏が、自身の原爆の被爆体験を元にした自伝的漫画。
氏はこの漫画を通して原爆の怖さ・戦争の無意味さ等々を知ってもらうために書き上げたと言っています。
だから当然当時の思想・風潮、原爆投下時の熱線や爆風で老人や乳児を含む市民が犠牲となる描写、強姦などの性的描写、「きちがい」「乞食」「ルンペン」などの差別的表現、旧日本軍の残虐行為・差別発言などの描写がたくさん記載されています。
これに対して国は「子供たちに間違った歴史認識を植え付ける」「子供たちに残虐な行為・残虐な性表現は如何なものか」とクレームをつけましたよね。
国が「反対している漫画」に対し、世界的な映画監督ジェームズ・キャメロンは「広島・長崎の原爆をテーマとした映画を考えている」し「被爆による殺戮表現を、たとえ目を覆いたくなる映像になろうと、真実から目を背けずに描きたい」と語っています。
ごめん、話しを元に戻します。
ある評論家は、「日本の大衆文学では右翼は剣豪と将軍を描き、左翼とリベラルはもっぱら忍者を描くのがつねである。後者の代表が村山知義である」と。(朝日新聞)
でも、忍者を描いたのは村山知義だけじゃありません。
大好きな山田風太郎も・・・・。
そして白土三平も忍者を主人公にした作品~武士社会(権力機構)に抵抗しながら農民、被差別民の間で生きて行く忍者の姿を描いています。
だからかもしれませんが70年代(学生運動衰退)以降、氏の作品は急速に廃れていったと言われています。
しかし、氏が左翼なのかどうかは問題ありません。
当時の僕は、氏の描く主人公~悩みながらも権力に果敢に立ち向かう主人公に憧れてしまいました。
社会人になってから権力を笠に着てふんぞり返っている人、偉ぶっている人達に向かって・・・、実力のない平社員が・・・、つい「お言葉を返すようですが・・・」と、内容のない拙い言語でお言葉を返してしまう・・・。
結果は・・・、もう見えているよね・・・。
連戦連敗!
当時はまだパワハラ等と言う言葉もないから、言われ放題・・・。
何度泣きながら帰ったことか・・・。
ハッ!ハッ!ハッ!・・・懐かしい~・・・・。
でも辛い時に氏の作品を読むと、嫌なことが忘れれたのは事実です。
ちょうど衆院選の前に氏が亡くなられたのは、何かを暗示しているような・・・、政権交代・・・?
選挙の結果は・・・・、良いか悪いかわかりませんが、最大の権力党・自民党の勝利!
氏は、弱者を助けるような党が現れて欲しかったのでは・・・、なんちゃってネ!
それはさておき、漫画が嫌いな人、まだ氏の作品を読んだことが無い人は、是非ご一読ください。
また、村山知義の「忍びの者」もネ。
戦国時代を舞台、権力者たちに利用される下忍たちの悲哀と反抗を描いた作品で石川五右衛門(映画では市川雷蔵)を主人公にしているのでこちらも是非読んでください。
お薦めですよ‼
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