1947年制作、モノクロのアメリカ映画。
1910年代のニューオリンズを舞台に博打と酒とラグタイムが楽しめるキャバレーを経営するニックと若きオペラ歌手ミラリーが恋に落ちて行く様を描いた映画。
若き日のルイ・アームストロング、ウディ・ハーマン等、往年のジャズプレイヤーの演奏が聴けたり、当時のニューオリンズやシカゴの街や街を走るクラシックカー、上流社会の白人と労働力としての黒人との関わり、ラグタイムやブルース、ジャズの変遷などを知ることが出来る貴重な作品。
若きオペラ歌手ミラリーが住む家のメイド役がビリー・ホリデイ。
サッチモのトランペットで「Do You Know What It Means to Miss New Orleans」を歌うビリー・ホリディ~≪動いているビリー・ホリデイ~≫最高!!
ジャズが大好きな方に言わせると、サッチモと一緒に出演しているバンドメンバーは、クラシック・ジャズの名手たちばかりで、ジャズ好きにはたまらないメンバーらしいですよ!
しかし、時代的にはジャズ不遇の時代。
サッチモやビリー・ホリデイは日本では伝説の人ですが、この1910年当時、白人がジャズ・ブルースを聞くのは許されない時代。
クラシック音楽が主流で、ジャズは邪道の時代。
良家の子女がジャズなんか聞くなんて・・・・「とんでもない時代」。
因みに、僕らが小学・中学生時代、洋楽に憧れ必死に聴いていたアメリカン・ポップスやブリテッシュ・ロック。
しかし、Beatlesが来日した1966年当時の日本も「ロックは不良の音楽」でした。
映画「グリーン・ブック」もそうでしたが、1つの音楽が市民権を得るためにはいくつかの“壁”を乗り越えなくてはいけないようです。
主人公のニック(白人)は、オペラ歌手ミラリーとの関係破局後、ニューオリンズを追われ、黒人音楽を世間に認めさせるためにキャンペーンに乗り出しジャズやブルースの普及に励みます。
こういう人間がいたからこそ、ジャズやロックが世界に認められる様になったのですね!
「皆さんご注目あれ、サッチモとバンドの演奏をお聴きあれ、聴くことを悪だという人々もいる。
だがブルースはここで生まれた。
ブルースを聴くと足でリズムを取りたくなる。
ドアを開けて入ると金管楽器の音がする。
他でこの音楽は聴けない。
ディキシーの調べに乗って足でリズムを取れ、体を揺すれ、演奏を楽しめば何も失うものはない。
胸が熱くなるブルースの演奏でベースが響くのを耳をすまして聴け、ブルースが生まれたニューオリンズで…。」
ジャズ黎明期からジャズを愛し、その普及に尽力する主人公。
その主人公を愛したオペラ歌手。
そしてジャズ・ミュージシャンたちの姿が最高です。
音楽好きは必見ですよ!
コメントをお書きください