★ 濵田 研吾 (著)「俳優と戦争と活字と」 (ちくま文庫)

第二次大戦を体験した昭和の俳優達。

 

彼等が体験した戦争を直接インタビューしたのではなく、俳優の自伝やエッセー、対談や追悼本、過去のインタビュー記事や映画・演劇等のパンフレットの寄稿文等々、膨大な活字の中から戦争にまつわるエピソードを丹念に拾い集めまとめた一冊。

 

有名どこの戦争日記(※1)は何点か読みましたが、同本は俳優だけに絞った戦争体験である点がとてもユニーク。

 

若い方には知らない俳優が一杯出てくると思うけど、当時の俳優それぞれの体験談はとても面白く、戦争とはどういうものかを知る上でも貴重な資料だと思います。

 

一口に戦争体験と言ってもいろいろありますよね。

赤紙・徴兵、玉音放送、終戦日の体験、中国・朝鮮・南方に等での戦闘体験、疎開、戦時下の映画ロケ、慰問団・移動演劇、戦時下の恋愛体験、広島・長崎の原爆体験、原爆語り継ぎ体験、満州引き上げ体験、シベリア抑留体験、特攻隊体験・・・・・、あの時代を生きた方々の体験は生存者の数だけあると思います。

 

同本は、映画・舞台・テレビで活躍したスターや名優達の華やかな姿の裏に隠された戦争体験。

 

著者は「俳優たちが語った戦争体験やメッセージを一冊にまとめることにより、見えてくるもの、聞こえてくる声があるのではないか。戦争を知らない世代への、これも1つのアプローチの仕方ではないか」と。

 

終戦時20歳だった人が今では96歳、十歳だった人でも86歳の超高齢者。

戦争を体験した人や戦争体験を語ることが出来る人は、後どのくらいいるのでしょうか。

 

戦争の悲惨さ等を後世に伝えるためにも同本は若い方に読んで欲しい本だと思います。

 

(※1)伊藤整「太平洋戦争日記」、大佛次郎「終戦日記」、

高見順「敗戦日記」、徳川夢声「夢声戦争日記」、

山田風太郎「戦中派不戦日記」・「戦中派虫けら日記」、

「古川ロッパ 昭和日記」

山田風太郎 『同日同刻 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日』

その他、池部良、西村京太郎、水木しげる等

 

●濵田 研吾 ()「俳優と戦争と活字と」

出版社 : 筑摩書房/ちくま文庫

定 価  : 1100円+税

 

 

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