「天声人語」は毎日読んでいますが、コミック本をテーマにした記事は記憶にありません。
今年2019年6月1日付けの天声人語。
今年の手塚治虫文化賞(新生賞)を受賞した山田参助(著)「あれよ星屑」が紹介。
「中国大陸で死線をくぐり抜けた兵士2人が、東京の闇市で再会する。天地が入れ替わったかのような世間の急変に戸惑う元軍曹と一等兵。焼け跡の空気感を濃く伝える」と記載。
“焼け跡闇市”と聞いたら野坂が大好きな小生としては、読むしかないですよね!
急いで有隣堂にTEL。
しかし売り切れ!
そこで、アマゾンで調べてみたが全て売り切れ状態。
予約して全7巻が手元に来たのが約2週間後でした。
毎晩、就寝前に読む。
面白い。
作者の山田参助氏は、1972年生まれ。
当然、戦争を知らない世代ですが、「幼少期から松谷みよ子などの児童文学を通じて戦中戦後の様子に興味を持ち、その後、同時代を描いた映画や、野坂昭如や田中小実昌らの小説で戦後のイメージを膨らませていった」そうです。
「戦争を生き延びてしまった男」の元に豪放磊落な軍隊時代の部下が訪れるところから始まる。
加害者でもあり被害者でもある男二人の視点から描かれる世界~敗戦直後の焼け野原となった東京で暮らす慰安婦、パンパンガール、戦争で家族と引き離された浮浪児、命からがら日本へ戻った引揚者、出撃前に敗戦を迎えた元特攻隊・・・・、戦争に翻弄されながらも明るく、時に虚しく、それでも人は生きているという現実が描かれています。
Hな描写(とても明るく描いています!)も多いけど、“戦争を生き延びてしまった男の人生に対するケジメ”を真面目に描いた戦争作品であり、中沢啓治の「はだしのゲン」や水木しげるの「総員玉砕せよ!」に匹敵するコミック本だと思います。
お薦めコミック本です。
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