落語が大好きで江戸時代の品川宿に興味があったもんだから、タイトルだけで思わず購入。
作家の「奥山 景布子」は初めてですが、とても面白い人情たっぷりな時代小説です。
ペリー来航直後の幕末の品川宿。
腕はいいが、喧嘩早い大工の棟梁・秀八。
秀八は落語が大好きで、好きが高じ寄席「清州亭」を建ててしまう。
そんな秀八を陰で助けるのが、駆け落ちして一緒になり団子屋を切り盛りする女房・おえい。
秀八、おえい、寄席「清州亭」をめぐって繰り広げられる笑いあり涙あり、人情たっぷりの時代小説。
人生も半ばを過ぎ、本業に余裕ができ副業として寄席の経営を始めた秀八、子供ができないことに悩むおえい、どん底まで落ちてそこから這い上がろうとあがいている男、生活に不安を抱えているシングルマザー等々、現代人と変わらない悩みを抱えている登場人物にも共感できます。
また、最後のページに「寄席まわりの言葉たち」という説明もわかりやすく記述されているので便利ですよ。
読んでとても面白いので、落語好きの方は是非ご一読を。
余談ですが、品川宿をご存知ですか?
東海道第一の宿場で江戸へ入る人たちが身なりを整えるためにあえて一泊する重要な宿場なんです。
でも、それだけではありません。
江戸の四宿というのがあってね・・・・・。
四宿というのは、千住宿、板橋宿、内藤新宿、品川宿のこと。
この四宿は、仲居であると同時に色も売る飯盛女を抱えることが許されていました。
高額で面倒な手続きも多い「吉原」より気楽に遊べるとして江戸の多くの男達が訪れた宿場です。
特に品川は「北の吉原、南の品川」と称され、一大歓楽地だったそうです。
江戸っ子が、日帰りか一泊程度で息抜きができる観光地であり、悪所とごく普通の町人が暮らす商家や長屋が混在していたそうです。
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