久々にちょっとイラついた小説。
江戸城が官軍の手に渡り、明治天皇がやってくるまでの約十ヶ月の間、江戸城内で何も語らず座り続ける“的矢六兵衛”の周囲で起きた数々の出来事を描いた物語。
「イラつき」の原因は、小説が面白くなかったからではなく、いや、最後まで読むと面白いのですが・・・・。
江戸城内でものも言わず座り込みを続けている「黒書院の六兵衛」なる人物がいったい何者で何を目的としているのか?
六兵衛の人物像・目的について、彼を知る上司や同僚、六兵衛の家族達から話を聞き江戸城から去るよう説得を試みるのですが・・・・・・。
この聞き取りの部分、登場してくる数多くの上司や同僚の一人称語りが長すぎる。
上下2巻の2/3位割いています。
260年の徳川支配が崩れた幕末。
“明治”という時代を迎えるにあたり、変化を拒み戦う者やひっそりと去る者、時代に流される者の中にあって、武士道を貫き明治維新を迎える最期の武士“六兵衛”の生き様。
“六兵衛”という人物像も時代背景も登場する勝海舟、西郷隆盛、大村益次郎、第十六代将軍となりそこねた徳川家達、福地源一郎(桜痴)、彰義隊‥など、申し分なしなのですが・・・・。
面白く読まれた方には申し訳ないけど、寝る前の本としてはダメでした。
でも、直ぐ眠れる本としては・・・・、いいかも。
ごめんなさい。
●浅田次郎「黒書院の六兵衛」
出版元:文春文庫
上下2巻。
金額:上下とも680円+税
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