好きだな~、浅田次郎のこのシリーズ。
「天切り松闇がたり」とは、大正・昭和と激動の時代を生き抜いた伝説の義賊「目細の安吉一家」の一人「天切り松」が、留置所の小悪党や看守相手に夜盗の声音「闇がたり」で語り聞かせる、粋でいなせな闇の渡世の義賊列伝。
発刊されるたびに買ってしまいます。
語部の「天切り松」のべらんめぇ口調がたまりません。
上手い浪曲師が語るような流れる文章のリズムがとても心地よく、また登場人物の現在では無くなってしまった感がある義理人情、いなせで粋な生き様がとてもかっこいいんです。
義賊「目細の安吉一家」は、スリ・強盗・夜盗・詐欺のプロフェッショナル集団。
「天切り松」は幼名を松蔵といい、酒と博奕に身を持ち崩したあげく、妻を医者にも見せずに死なせ、娘は女郎屋に売り飛ばしたという父親に「抜弁天の安吉」の下に盗ッ人修行に出されたという現在では考えられないほどの最悪の家庭環境に育つ。
「天切りたァ、大江戸以来の夜盗の華。ケチな所帯にァ見向きもせず、忍び返しに見越しの松、長屋門に車寄せてえお屋敷ばかり、夜に紛れて屋根を抜く、富蔵、藤十郎、鼠小僧の昔から、一子相伝、親分から子分へと奥義を伝えられた荒技でえ。」という、伝説的な大泥棒。
9年ぶりに発表された「第五巻 ライムライト」は、五・一五事件の前日に来日した大スター、チャップリンの知られざる暗殺計画に江戸っ子の粋を体現した伝説の「目細の安吉一家」が昭和初期の東京で大活躍する物語。
表題作「ライムライト」ほか5編を収録。
「天切り松 闇がたり 5 ライムライト」
発行:集英社(文庫本)
値段:605円
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