Aerosmithは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンからデビューしたハードロック・バンド。
デビューは、1973年。
メンバーの脱退や離脱などもありましたが、40年以上たった現在でもなおオリジナル・メンバーで活動しているグループで、2001年には「ロックの殿堂」入りを果たしています。
これまでに「グラミー賞」4回、「ビルボード・ミュージック・アワード」4回、「アメリカン・ミュージック・アワード」6回、「MTV Video Music Awards」10回など獲得。
ローリング・ストーン誌の選ぶ「歴史上最も偉大な100組のアーティスト」においては第59位にランクイン。
スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーのソングライティング・コンビは、米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)からポップ・ミュージックに多大な影響を与えたパイオニア的存在に贈られる「ファウンダーズ・アワード」を受賞。
ナショナル・アカデミー・オブ・ポピュラー・ミュージック(NAPM)設立による「ソングライターの殿堂」入りも果たしています。
日本では、1970年代後半からQueen、Kissとともに“3大バンド”の1つとして人気を博し、トータルセールスは、全世界で1億5,000万枚以上と言われています。
以上のような華々しい賞歴を持っていますが、Aerosmithの本当の魅力は何といってもドラッグとセックスの香りがプンプンする“猥雑で下品かつ野生味溢れる” ハード・ロックなのです。
極端な言い方をすれば、Queenの対極に位置するバンドなんですネ。
ブルース、ファンク、R&Bの要素をドロドロの状態で一度混ぜ合わた曲をハード・ロックへ昇華。
ジョー・ペリーのやる気なさげに響く不良テイストのギターとスティーヴン・タイラーの何を歌っているのかさっぱり意味不明なヴォーカルが上手く融合し聞く側には心地よいハードロックとなっています。
それが変わることなく40年以上も続いているんですから・・・・、凄いバンドなんですよ。
彼らの最大の魅力“猥雑で下品かつ野生味溢れるハード・ロック”が最大限に発揮されるのが、何といってもLIVE。
Aerosmithはテクニシャンがいるバンドではありませんが、「ド派手でゴージャスな、スタジアム型のロックロール」は、絶対に裏切りません。
あのBon Joviが「いつも、Aerosmithの半分くらいはカッコよくなりたい!と願ってた」という名言を残した程、カッコいいです。
最高です!
メンバー。
・スティーヴン・タイラー(Vo):1951/3/26 ニューヨーク生まれ
・ジョー・ペリー(g):1952/9/10 マサチューセッツ州ボストン生まれ
・ジョーイ・クレイマー(Ds):1950/6/22 ニューヨーク生まれ
・トム・ハミルトン(b):1951/12/31 コロラド州コロラド・スプリングス生まれ
・ブラッド・ウイットフォード(g):1952/2/23 マサチューセッツ州ウインチェスター生まれ
当店所有のAerosmithのアナログレコードをご紹介しますね。
◆1st 「Aerosmith/邦題:野獣生誕」
1973年発表の1stアルバム。
同アルバムは、地元ボストンで若干話題にはなりましたが、「ストーンズのコピーバンド」と酷評。
しかし、収録曲は全曲シンプルなロックン・ロールで、かっこいいです。
中でも「Dream On」と「Mama Kin」は、当店でもリクエストの多く、40年以上経った現在でも彼らはLIVEで演奏しています。
シングル・カットされた「Dream On」は、最高60位。
しかし、同曲はラジオ局などで徐々に人気を集め、後にリクエストが殺到。
3年後の1976年に再発され、ビルボード誌で6位になる大ヒットとなり、アルバム自体も21位を記録。
収録曲の「Mama Kin」は、Guns N' Rosesがメジャー・デビュー前のLIVEでカヴァー。
同じく収録曲でルーファス・トーマスの曲「Walkin The Dog」は、Rolling Stonesが1stアルバムで、RATも1stアルバムでカヴァーしています。
◆「Get Your Wings/邦題:飛べ!エアロスミス」
1974年発表の2ndアルバム。
発表当初は日本の一部マスコミに”飛びたくても飛べない駄作”と酷評され、セールス的に悪くUSAアルバムチャートでも最高ランク100位にも届きませんでした。
でも「Mama Kin」同様イントロがカッコいい「Same Old Songs And Dance/邦題:エアロスミス離陸のテーマ」や「これぞロック!」という感じの「S.O.S」、ヤードバーズ往年の名曲を彼等らしくカヴァーした「Train Kept A Rollin」など、聴きどころ満載の曲が収録されています。
特に「Train Kept A Rollin」は、2009年のロックの殿堂入り授賞式恒例のオールスター・フィナーレで、Jimmy Page、Ron Wood、Metallica、Freeとセッション。
この頃、AerosmithはMott the HoopleやBlack Sabbath、Deep Purple等のLIVEで前座をしており、地味ながらも徐々に全米へと浸透していきます。
そして次作「Toys in the Attic/邦題:闇夜のヘヴィ・ロック」の大ヒットとともに、同アルバムはビルボード・アルバムチャートで74位まで上昇。
◆「Toys in the Attic/邦題:闇夜のヘヴィ・ロック」
1975年発表の3rdアルバム。
Aerosmith出世作として位置付けられています。
シングル・カットされLIVEでも演奏する「Walk This Way/邦題:お説教」は、ビルボード・シングルチャートで10位、「Sweet Emotion」は36位を記録。
アルバム自体もビルボード・アルバムチャートで11位の大ヒットに。
「ローリングストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500」で229位。
「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」で収録曲「Walk This Way」が336位、「Sweet Emotion」は416位にランクインしています。
「Walk This Way」は、1986年にRUN D.M.Cがラップでカヴァーし、ビルボードで4位の大ヒットとなり、日本テレビ系列のバラエティ番組『踊る!さんま御殿!!』メインテーマとして使用されました。
しっとり聞かせるバラード「You See Me Crying」も良いです。
この時期メンバーはドラッグ漬けとなり、些細な出来事からバンド内で大喧嘩が頻繁に起こり解散寸前の状況だそうです。
結果、1979年7月のロック・フェスティバル「ワールド・シリーズ・オブ・ロック」出演後、ジョー・ペリーがバンドを脱退する事態に発展します。
◆「Rocks」
1976年発表の4thアルバム。
1970年代のAerosmith最大のヒット・アルバムです。
シングル・カットされた「Last Child」がビルボード・シングルチャートで21位、「Home Tonight」が71位、「Back In The Saddle」が38位を記録。
アルバムもチャート3位を記録する大ヒットに。
ローリング・ストーン誌の「オールタイム・ベストアルバム500」で176位にランクインしています。
このアルバムのヒットがきっかけとなり1・2作目も触発されるようにチャートを上昇し、1作目かこの「ROCKS」まで全てのアルバムがプラチナ&ゴールドディスクに輝く事に。
この後、彼等はヨーロッパ・全米をまわり、翌年の1月に待望の初来日となります。
◆「Draw the Line」
1977年発表の5thアルバム。
メンバー全員がドラッグ漬けという状況の中で製作されたアルバムですが、これまでで一番早くプラチナ・レコードを獲得しています。
再発シングル「Draw The Line」が42位、「Kings And Queens」が70位を記録。
アルバムは、ビルボード・アルバムチャートで11位を記録。
日本のオリコンチャートで初のトップ10入りを果たしています。
「ドロー・ザ・ライン(線を引く)」は、吸入する前のコカイン粉で線を引くという意味の謎掛けだったのではないか?との逸話がありました。
この当時の問題はドラッグだけでなくスティーヴンとジョーの確執が段々と表面化してきた時期でもありました。
◆「Night in the Ruts」
1979年発表の6thアルバム。
収録曲9曲のうち3曲はカヴァー曲。
「Remember」はShangri-lasの1964年のヒット曲、「Reefer Head Woman」はブルース歌手ジャズ・ジラムが1938年に発表した楽曲、「Think About It」はYardbirdsが1968年に発表した楽曲のカヴァー。
シングル・カットされた「Remember」は、ビルボードで67位。
アルバムは、ビルボード・アルバムチャートで14位を記録。
この頃、彼等のドラッグ中毒は絶頂期。
特に酷かったジョーがドラッグ過多で病院にかつぎこまれたり、スティーヴンがステージ上で過度のトリップ状態に陥りステージ進行に支障をきたしてしまったりとバンドの内情はメチャクチャだったようです。
さらにジョーとスティーヴンの確執はますます深くなり、このアルバム完成前にジョーはグループを脱退。
ジョーの代わりとなるギタリストをあちこちから引っ張ってきてどうにかこのアルバムを完成させたそうで。
この後任候補の中にはかのMichael Schenkerも含まれていたそうですが、プロデューサーのゲイリーがマイケルの黒づくめな格好が気に入らなかったらしく幻に終わってしまったという逸話も。
◆「Permanent Vacation」
1987年発表の9thアルバム。
プロデュースは、ボン・ジョヴィ等を手掛けたブルース・フェアバーンが担当。
第二期黄金期のきっかけとなったオリジナルアルバムで、ビルボード・アルバムチャート第11位を記録。
UKで初のアルバム・チャート入り。
シングル・カットされた「DUDE」はUSA14位・UK45位、「ANGEL」はUSAで3位・UK69位、「Rag Doll」はUSA17位を記録。
この後、彼等はGuns N' Rosesを前座に従えて久々のツアーに出る事に。
「ANGEL」は後に、日本のTVドラマ「エンジン」のオープニング・テーマに使用されています。
「I,M DOWN」はBeatlesのカヴァー。
◆「Pump」
1989年 に発表した10thアルバム。
プロデューサーは、前作「Permanent Vacation」と同じくブルース・フェアバーン。
シングルカットされた「Love In An Elevator」は5位、「Janie,s Got A Gun」が4位、「What It Takes」が9位、「The Other Side」が22位と連続してヒット。
アルバムもUSAチャートで5位を記録し、1990年年間チャート4位の大ベストセラーとなる。
児童虐待や銃社会を扱った「Janie,s Got A Gun」は、グラミー賞のベスト・ロック・パフォーマンス部門を受賞。
この「PUMP」により、Aerosmithは完全に全盛期の頃の勢いが戻っていると思います。
スピード感溢れる「Young Last」、児童虐待を扱った「Janie,s Got A Gun」、お祭りロック「The Other Side」等々素晴らしいの一言に尽きる一枚。
◆「Get a Grip」
1993年発表の11枚目のアルバム。
Aerosmith初の全米アルバム・チャートNo.1を獲得。
年間チャートでも1993年14位、1994年21位と2年にわたるロングセラーを記録。
シングルカットされた「Amazing」が24位、「Cryin」が12位、「Livin, On The Edge」が18位、「Crazy」が17位と、立て続けにヒット。
「Livin, On The Edge」で、グラミー賞を受賞。
ゲスト・ミュージシャンにレニー・クラヴィッツやドン・ヘンリー等が参加しているのも魅力的。
下品かつ野卑な魅力たっぷな曲、気持ちまンまを叩きつけるようなバラード曲、カントリーっぽいノリのお祭りロック、悲哀全開というべき曲等々、アルバム全体に捨て曲は全くありません。
◆「Live! Bootleg」
1978年発表の2枚組LIVE盤。
1977年から1978年にかけて行われたアメリカ・ツアー(インディアナポリス公演、シカゴ公演、ボストン公演、デトロイト公演、インディアナポリス公演、サンタモニカ公演)等の音源を中心に収録。
エアロは全部で4枚のライブ・アルバムを出していますが、初期の頃のライヴとしてはこのアルバムが完成度という点で一番良いと思います。
シングル・カットされたBeatlesのカヴァー「Come Together」は、全米23位を記録。
アルバムもビルボードで13位を記録。
「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」において173位にランクイン。
LIVE盤「Dream On」は、映画『ラスト・アクション・ヒーロー』サウンドトラックに提供。
ロニー・ジェイムズ・ディオは、イングヴェイ・マルムスティーンとともに「Dream On」をAerosmithのトリビュート・アルバムでカバー。
◆シングル盤「I Don't Want to Miss a Thing」
1998年発表の映画「アルマゲドン」主題歌。
Aerosmithとしては、史上初となる全米シングルチャート1位(Billboard Hot 100)を獲得(4週連続)した曲。
また、オーストラリア、ドイツ、アイルランド、オーストリア、ノルウェー、イタリア、オランダ、スイスなど各国で1位を記録。
第71回アカデミー賞「歌曲賞」部門にノミネートされ、MTV Video Music Awardsの「ベスト・ビデオ・フロム・ア・フィルム」を受賞。
アメリカの番組で「アメリカ人が選ぶ名曲ベスト100」にて6時間に渡る生放送でマイケルジャクソンを抜き第1位に選出。
ミュージック・ビデオでは映画の映像が所々で使用されており、映画と同様にスティーヴンの娘であるリヴ・タイラーも出演しています。
2001年、日産・エルグランド(E50型)のCMソングに使用されています。
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