久しぶりの池波作品。
やっぱり面白いな~。
「真田」と言えば一般には、天才的な戦将で勇猛かつ智略・謀略に長けていた父・昌幸と大坂冬の陣、夏の陣で名をはせた弟の幸村および真田十勇士が頭に思い浮かびますよね。
昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」でも大坂夏の陣で壮絶な死を遂げた弟・真田幸村が中心に描かれていましたしね。
だから、徳川家に味方した兄の真田信之の名は殆どの人が知らないのは当然。
「獅子」は、池波作品「真田太平記」後の「信濃の獅子」と謳われた晩年の真田信之を扱った小説。
90歳をこえてなお「信濃の獅子」と謳われた真田信之。
そんな彼が、当主の突然の死に伴う後継者争いを収集するために松代十万石の存亡を賭け、幕府下馬将軍の酒井忠清との隠密を巻き込んだ一歩も引かぬ情報戦を繰り広げる。
晩年90を越してなお、徳川家との間で自らの愛するもの達を、何とか生きのびさせようとする戦いのドラマです。
「大名のつとめと申すは、領民と家来の幸せを願うこと、これ一つよりほかにはないのじゃ」と繰り返す真田信之。
そんな彼が何より愛した領民たちの田植唄を遠く聞きながら静かにその生涯を終えるとき、ちょっと熱いものが込み上げてきてしまいました。
「獅子」は、面白い本なのでお薦めです。
でも、池波正太郎の「真田太平記」を読んでからのほうが、解りやすいかも。
◆池波正太郎「獅子」新潮文庫/550円(税別)
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