同書の存在を知ったのは10年ぐらい前。
アメリカで日本人少女の戦争体験記が優良図書に選ばれ、中学校用の教材として多くの学校で使用されているらしいと知り、何とか手に入れたいと思っていたら、本屋さんで偶然見つけ即購入。
内容は、作者のヨーコが11歳の時、終戦直前に朝鮮から日本へ帰国する際の決死の体験や引揚後の苦労が描かれている自伝的小説。
現在、作者中沢啓治氏「はだしのゲン」が「子供たちに間違った歴史認識を植え付ける」として、学校図書室から本作品を撤去されるなど、物議を醸していますね。
同書も同じような立場にあります。
2005年(平う成17年)に大韓民国でも『요코이야기(ヨーコ物語、ヨーコの話)』として訳出されましたが、後に発売中止となっています。
両氏も戦争時の悲惨な描写に可なり苦労なさっているようです。
「実際の戦争は、こんなもんじゃない・・・。戦争を知らない子供達に戦争の悲惨さを知ってもらいたいので抑えて描写している」
それでも、いろいろと問題視されています。
ヨーコ家族は、1945年(昭和20年)7月29日深夜、ソ連軍の侵攻を知り、赤十字列車に乗って羅南(らなん)を脱出。
途中、爆撃で機関車が破壊され徒歩にて京城(けいじょう)を目指す。
しかし半島内は既に、ソ連軍と呼応した共産軍の兵士によって、北から南へ逃走中の日本人は・・・悲惨な目に合う。
戦争というのは、“勝ち組”と“負け組”とでは、その描写においてかなり温度差がありますよね。
僕が読んだ大半の本は、戦争の一場面~それも日本が負け初めてからの“やられた側”の悲惨さのみをテーマにした本が圧倒的に多いんです。
それに反して、日本人がアジアで何を「やった」 か、加害者の立場から書かれた記録は少ないんです。
●加害者の立場から書かれた本。
現在、シリアでの科学兵器器使用が問題になっていますね。
子供を含む千数百人が亡くなられているとか・・・。
この化学兵器に関しても、日本でも専門に研究していた研究所があるんです。
それも、この川崎に・・・・。
その名は、陸軍登戸研究所。
現在の明治大学生田校舎があるところ。
この研究所では、戦時中いろいろな化学兵器を作り、動物実験・捕虜の人体実験が行われたようです。
この、陸軍登戸研究所には、実験で死んだ動物の供養塔はあるのですが、実験材料となって死んでいった捕虜の人間の供養塔はありません。
陸軍登戸研究所の所長は、「慣れてしまい、毎日動物や人間での実験ばかり繰り返していたら、実験するのが習慣になってしまい何の苦も感じなかった」そうです。
そして、この研究所に勤務していたある研究者は「ここの実験内容は、誰にも話さない。墓場まで持っていく」と・・・。
(BS放送)
化学兵器に関し日本で世界で一番有名(悪名)なのは「関東軍731石井部隊」。
細菌戦に使用する生物兵器の研究・開発機関で、やはり中国で人体実験などをしていたし、前述の陸軍登戸研究所とも呼応していました。
1945年(昭和20年)8月、ソ連対日参戦により、731部隊など関東軍防疫給水部諸部隊は速やかに日本本土方面への撤退が図られ、この時、大本営参謀だった朝枝繁春は、石井四郎らに速やかな生物兵器研究の証拠隠滅を指示したと言う。
終戦後にソ連・中国が行った調査では、犠牲者数は3,000人以上とされています。
この731石井部隊に関して面白かったのは、森村誠一の「悪魔の飽食」シリーズ。
平岡正明の「日本人は中国で何をしたか」で、日本軍の悪名高い三光作戦について書いてます。
「三光作戦」とは中国語で、「殺光」(殺しつくす)、「略光」(奪いつくす)、「焼光」(焼きっくす)を意味し、旧日本軍の行った残虐行為を紹介し、その背景を分析した本です。
僕は戦争に反対です。
戦争に関する本はたくさん出ています。
そこに描写されている残虐な行為、悲惨な出来事のみをとらえるだけじゃなく、戦争がいかに惨く悲惨であるかを読みとればいいのではないでしょうか。
最後に自民党の憲法改正に関してオリバー・ストーン監督の言葉から・・・。
「あなた方の息子がビニールに包まれて帰ってくるかもしれない。あなたがた自身もビニールに包まれて帰ってくるかもしれません・・・・。」
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