今まで、沖縄がテーマになった戦争小説を読んだことがありませんでした。
ちょうど馳 星周の「美ら海、血の海」が、オリジナル文庫本で出版されたので購入。
奇しくも、4月28日は沖縄にとっては「屈辱の日」でしたね。
これまで馳 星周の本は、4冊しか読んでませんが、結構面白くってね・・・。
日本一の歓楽街・新宿区歌舞伎町で繰り広げる中国マフィアたちの勢力争いを描いた「不夜城(1996年・第15回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞/1997年・第18回吉川英治文学新人賞受賞)」、「鎮魂歌-不夜城II(1998年・第51回日本推理作家協会賞長篇部門賞受賞)」、「長恨歌」の3部作と警察、中国人マフィア、日本のヤクザに追われながら、たった一人で戦う日系ブラジル人マーリオを描いた暗黒小説「漂流街(1999年・第1回大藪春彦賞受賞)」。
これまでの彼の作品イメージと好きなジャンルなだけに当然読んじゃうよね!
主人公は、“鉄血勤皇隊”として第五砲兵司令部に配属された14歳の少年・真栄原 幸甚。
沖縄本土に米軍が上陸したため、部隊は南部に撤退することが決定し、その道案内として幸甚少年とその先輩金城が先遣隊に加わる。
米軍の激しい艦砲射撃を受けながら必死に行軍を続けるが、ヤマトンチュウの兵隊による理不尽な暴力やウチナンチュウに対する差別を受け、「これまで受けてきた教育は本当だったんだろうか?」と、疑問を持つ。
圧倒的な米軍の攻撃を受け、8月15日の終戦すら知らずに飢餓の中、米軍から逃げ必死に生きていこうとする幸甚少年・・・。
でもね、冒頭がいけません!
先の悲惨な震災と沖縄戦がオーヴァーラップしたところから始まり、震災で終わる。
本の帯には「~涙なしには読めない物語」、最後の池上冬樹氏の解説にも「思わず、落涙~」と書いてあるのに・・・・・、僕は泣けませんでした。
ウ~ム、今一・・・・・だったかな?!
僕の感性が鈍ってきたのかな~?
でも、最後の言葉は印象に残りました。
「沖縄が日本の盾とされ、20万を超える人々が死んだのに内地の人間は沖縄戦の真相を知らなかったし、知ろうともしなかった。
そのくせ、観光に訪れては、南の島の楽園だと笑いながら、海で泳ぐのだ。
1945年に血で赤く染まっていたあの海で」。
● 馳 星周 「美ら海、血の海」
出版所: 集英社 集英社文庫
値 段: 650円+税
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