★「トキワ荘の春」
石ノ森章太郎 著
漫画好きなら「トキワ荘」を知らない人はいないよね。
そう、「漫画界の聖地」、「漫画界の梁山泊」等と言われ、昭和30年代、日本が戦争から復興していく時代に現在巨匠といわれている著名な漫画家達が若い頃住んでいた有名なアパート!
トキワ荘を舞台にした「トキワ荘の青春」という青春映画もあったよね。
この「トキワ荘」に住んでいたのが、手塚治虫、寺田ヒロオ、石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄、水野英子・・・、錚々たるメンバー。
で、今回ご紹介するのは「サイボーグ009」「仮面ライダー」の作者・石ノ森章太郎の自伝的エッセイ「章説 トキワ荘の春」です。
石ノ森章太郎は、宮城県立佐沼高校在学中「二級天使」でデビューし、天才と言われていたとか。
あの“マンガの神様”手塚治虫から「マンガの手伝いをしてくれないか」という電報を受け取り、宮城から上京したのが高校一年生だったという。
神様が認めた天才が、石ノ森章太郎(当時は、石森章太郎)。
その後、一度帰郷。
再度の上京し、赤塚不二夫に誘われてトキワ荘に入居したそうです。
「章説 トキワ荘の春」は、その入居日から始まっています。
食べるものもあまりない状態の中、大きなステレオを買った話や赤塚と流し台をフロにした話、プレイボーイだった赤塚のラブレターを代筆したエピソードやその他イタズラ好きだった藤子不二雄、ボンヤリとしていた鈴木伸一、豪快でムチャクチャな森安直哉、マジメ過ぎるほどマジメだった角田次朗(つのだじろう)や皆の兄貴分だった“テラさん(寺田ヒロオ)”が「子供たちに理想を教える漫画」と雑誌編集者が要求する商業主義との間で深く思い悩み筆を折った話など、個々人についても述べています。
石ノ森章太郎曰く、「トキワ荘の数年は私にとって、青春そのものであった…。仲間たちとの青春群雄記」が「トキワ荘の春」です。
核戦争の恐怖とそれを生んだ人間の欲望が描いた「サイボーグ009」もとても面白いですよ。
●石ノ森章太郎 略歴
1938年1月25日宮城県生まれ。県立佐沼高校在学中「二級天使」でデビュー。
創作活動以外でも、マンガジャパン代表世話人をはじめとする様々な役職を兼務。
1998年1月28日逝去、享年60歳。
なお、残した業績を称え、勲四等旭日小綬章、(社)日本漫画家協会賞・文部大臣賞、手塚治虫文化賞・特別賞、台湾マンガサミット・漫畫精神奨などを受賞などなど。
代表作:「仮面ライダー」「サイボーグ009」「HOTEL」等