2013年
1月
30日
水
また、好きな作家がお亡くなりになりました。
安岡章太郎さんが、26日老衰で永眠。
享年92歳。
学生時代に「悪い仲間」、「陰気な愉しみ」(1953年第29回芥川賞受賞)を読んだけど、一つしっくり来なくってね・・・。
でも1981年に発刊された「流離譚」で一気にファンになってしまったんです。
安岡章太郎の父方は、板垣退助率いる土佐藩迅衝隊の志士だったんです。
もう~、もう~、これだけで興奮状態!
安岡家の子孫である章太郎が、日記や書簡を手掛かりにね、本家覚之助の子孫が維新後土佐を離れて東北に移住した理由を時代背景に照らし合わせながらリサーチするという長編歴史小説なんです。
長男の覚之助は、勤王党の獄を生き抜くも戊辰戦争に参加し会津若松城下で戦死。
次男の嘉助は、吉田東洋暗殺後脱藩し、天忠組の乱で捕縛され刑死。
三男の道之助は維新後まで生き抜き自由民権運動に参加・・・・。
ネッ、ネッ! 読みたくなるでしょ!
1989年に発行された「僕の昭和史」もとても面白い本です。
内容は、「昭和」とともに歩んだ作家(生まれたのは大正9年ですが・・・)の愛惜の同時代史。
職業軍人の子として植民地朝鮮で過ごした幼少期、極寒の異国での軍隊生活、傷病兵となっての帰還、度重なる病に臥して原稿に向かった青春期、そして戦後・・・・・・。
目まぐるしく変化していく激動期の日本を、極めて私的な体験を通して綴った私小説風の作品。
戦後に生き残ってしまったことへの戸惑いと深い悲しみが溢れています。
で、この「僕の昭和史」が面白いのは内容だけでなく、本のカバーも最高なんです。
初版当時の裏表紙が、タバコのイラストなんです。
Van Halenの「1984」のジャケット同様、今じゃ、考えられない本カバーですよね!
安岡章太郎先生、合掌!